HOME 書籍・DVD 漢方の知恵で身近な食材をおいしく活用 家族の脳を元気にする楽うまごはん
目次
第1章 身近な食材で脳を活性化しよう
毎日の食事で脳は若返る!
体質を見極める「虚実の証」 他
第2章 症状別レシピ
脳の活性化・認知症予防のためのレシピ
うつ・不安のためのレシピ
不眠のためのレシピ
頭痛・めまいのためのレシピ
眼精疲労のためのレシピ
肩こりのためのレシピ
お悩み別おすすめスープ8品
第3章 丁先生が自分で作って食べているレシピ
全71品/カロリー&塩分表示付
著者対談
健康番組でコメンテーターを務め、食の御意見番としても注目されている丁宗鐵(てい・むねてつ)先生。「ダイエット」「健康」「時短」などをテーマに、家庭料理のエキスパートとして幅広い分野で活躍中の浜内千波先生。「食」をライフワークとしているお二人の知識と経験を生かし、簡単においしく作れるレシピ本『漢方の知恵で身近な食材をおいしく活用 家族の脳を元気にする 楽うまごはん』(医道の日本社)ができました。誰もが普段よく使う食材を、丁先生が漢方的な視点でとらえ、浜内さんがレシピを考案しています。お二人に、この本が生まれた経緯、活用法、お勧めのポイントなどを伺いました。
――丁先生はこのところ健康番組『主治医が見つかる診療所』(テレビ東京系列)で、健康志向の方達の注目を集めてらっしゃいますね。『解決スイッチ』(テレビ東京系列)では、ご自分で料理をされたり、グルメレポートをしながら健康アドバイスをされたりしています。
丁 現代医学的な視点だけでなく、漢方的な視点でのアドバイスが入ると、視聴者の方には新鮮なようです。食に関する意識は、年々高まっているようですね。
――今回は浜内千波先生とのコラボレーションで健康レシピ本に取り組んでいただきましたが、いかがでしたか。
丁 浜内先生は非常にお力のある料理家さんとうかがっていましたし、私にとっては今までで一番本格的な料理本ですから、せっかく作るなら、他にはない料理本にしたいと思いました。 日本は長寿国と呼ばれていますが、今やただ長生きするだけがゴールではなくなりました。特に、認知症の方が増えて、人生の後半に思わぬ事態になっている方が多いです。1人が認知症になると、家族全員の人生にも大きく影響します。そこで、身体にいいのはもちろんですが、すべての司令塔である脳の健康にスポットをあてたらどうだろう、それを漢方的にも考えたらどうだろう、と思って、編集の方と話し合ってみたんです。
――本書で漢方的には、脳にいいものは身体にもいいというお話が出ていますね。
丁 ええ。でも、身体が比較的元気なのに認知症になってしまう人が増えていますから、将来不安をお持ちの方のために、現代栄養学的なものに漢方的な考え方を取り入れて、身体全体から脳を元気にしていく構成を考えました。そこから、よくある症状の中で、特に首から上の症状にスポットを当てて、脳の健康をサポートするレシピ集になればと思いました。 近年の研究で、脳を動かしているアドレナリンやアセチルコリン、ドーパミンなどが、腸で作られている物質だということが明らかになってきています。脳にいい食事は身体にいいし、特に腸にもいい。また、食材の効能は組み合わせで相乗効果が生まれます。
浜内私も今、「認知症」という言葉が非常に気になります。4人に1人、いえ3人に1人が認知症予備軍になってきたと言われていますね。これは誰もが無縁の話ではないなと常々思っていました。 ただ、それを家庭料理に落とし込むとしたら、脳にいいといっても特にかしこまらずに、おいしくて簡単に作れるというのが、第一条件です。大体、40代前後から上の世代だと思いますが、お子様やお孫様がいらっしゃる方が多いでしょうから、幅広い年代で、家族みんなで食べられるものがいいんじゃないかと思いました。
――浜内先生は、食育活動にもいろいろと携わっていらっしゃいますね。進学塾でも、食をテーマに講演などをされています。
浜内 食の問題が取沙汰されている今の日本ですが、少子社会になっても、いえ、だからなのか、食に関して熱心な親御さんや祖父母の方々が想像以上に多いです。やっぱり食はすべての源だからでしょう。 それで今回は、将来、認知症が気になる40代以降の方達と、そのお子様やお孫様、つまり中学受験から大学受験を考えているような世代も一緒に食べられるように、栄養的にも優れたレシピを考えてみました。大人の味に慣れてきたお子様方にも合うと思います。特にダイエットをアピールしていませんが、健康上、もちろん太らないレシピです。丁先生の「虚・実」という体質別アドバイスも、健康志向の方には興味深いでしょうね。
丁 本来、子供は実証が多く、年齢と共に虚証になってくるといわれていますが、虚証のお子さんももちろんいます。漢方治療ではもちろんもっと細かい証、つまり体質に分かれますが、身近でわかりやすいところから、今回はまず「虚・実」に大別するところから提案してみました。ですが、全品ヘルシーレシピなので、「虚か実か」とそう構えずに、好みのレシピから気軽に作ってみていいですよ。
――この本では野菜がたっぷりとれるし、肉・魚料理やご飯ものもあるし、スープやちょっとした付け合せ、お惣菜的なレシピもあるので、1冊で献立が決まりやすいですね。
浜内 6テーマ(脳の活性化・認知症予防、うつ・不安、不眠、頭痛・めまい、眼精疲労、肩こり)ごとに、即できる3品を入れているので、それと他の症状のレシピを組み合わせたり、今日は特売で玉ねぎをいっぱい買ったからとか、うちに使っていない魚缶があったとか、そういう選び方で作っても、十分身体にいいレシピばかりです。太らずに、必要な栄養がしっかり取れます。
丁 浜内先生は食材の扱い方をよくご存じだから、ちょっとした工夫で、とてもおいしく作ってらっしゃいますね。料理はもっとシンプルでいいんだと、よくわかります。本書には、毎日の食卓の定番になるレシピがたくさんありますから、まず目についたものから、ぜひ作ってみてほしいです。頭痛持ちだからこれ、というのももちろんいいのですが、浜内先生がおっしゃるように、どれも脳にも身体にもいいし、普段食事を作っている方ならできるレベルのレシピですから。
浜内 丁先生のオリジナルレシピは、お医者さんのレシピらしく、ちょっと凝ったものがあったり、逆にフィーリングで作るレシピもあり、面白いですね。水キムチのレシピは十人十色と言われますが、別に乳酸菌を加えて始めるあたりが、科学的な感じがします。
丁 水キムチや豆乳ヨーグルトのレシピは、料理を普段やっている方なら予想がつくでしょう。分量はアバウトですが、ぜひ自分で作ってみて、調整していってほしいです。この2つは特に、おいしさより医学的な観点の方が前に出てしまっている感じですが、発酵食品は自分の家のものが一番おいしいとよく言われますから、使う食材や豆乳の銘柄をかえたりしたら、だんだん自分がおいしいというものになると思います。そういうところが、料理の楽しみですね。
――レシピ本ではめずらしく、「ツボ押し」のイラストや、症状ごとに「おすすめの市販漢方薬」もありますね。
丁 ツボの本はたくさんありますが、一般の方が使えるツボはごく限られていますし、自分で押せるのもその中の一部でしょう。ふとした時にすぐできるよう、自分で押せる部位からツボを選んでいるので、ぜひ活用していただきたいです。おすすめ市販漢方薬は、漢方の入り口として見てみてください。薬局で気軽に相談したり、食事と合わせて、試してみてはどうでしょう。
●丁宗鐵(てい・むねてつ)
1947年東京生まれ。横浜市立大学医学部卒業、同大学大学院医学研究科修了。米国スローン・ケタリング癌研究所客員研究員、北里大学東京医学総合研究所研究部部長、東京大学医学部生体防御機能学講座客員助教授、東京女子医大特任教授などを歴任。日本東洋医学会漢方専門医・指導医。現在、日本薬科大学学長、百済診療所所長。著書に『標準漢方医学入門』(薬事日報社)、『丁先生、漢方って、おもしろいです。』(南伸坊氏との共著/朝日新聞出版)ほか、多数。『主治医が見つかる診療所』『解決スイッチ』(テレビ東京系列)にレギュラー出演中。
●浜内千波(はまうち・ちなみ)
徳島県生まれ。ファミリークッキングスクール校長。家族の健康を第一に考えた家庭料理を提案。テレビ、雑誌、書籍、講演などで活躍。著書に『朝に効くスープ 夜に効くスープ』『365日しっかり朝ごはん』(以上、日本文芸社)、『PON! 今すぐマネレシピ ちなみにヘルシー!! べスト&食材活用レシピ編』(ぴあ)、『決定版!浜内式8強野菜ダイエットプラス』(扶桑社)ほか、多数。「PON!」(日本テレビ系列)毎週月曜の料理コーナーにレギュラー出演中。
商品説明
「健康食」をもっとおいしく、簡単に。丁宗鐵医師の知識と経験をもとに、「時短」「健康」料理で人気の料理研究家・浜内千波氏が「脳の活性化・認知症予防」、「うつ・不安」、「不眠」などに対するレシピを考案。どのご家庭にもある、またスーパーで手に入るごく身近な食材で、塩分控えめ&砂糖添加なしでも簡単においしく作れるものばかり。元気に長生きするために重要な「脳の健康」をテーマに、気になる不調・症状別アドバイスや自分でできる「ツボ押し」、市販漢方薬、おすすめの食材とそのレシピをまとめています。
ご家族に受験生がいる患者さん、最近なんだか記憶力・判断力に自信がない、身体メンテナンスはもちろん認知症予防を心がけたいという健康志向の患者さんにおすすめの1冊です。
■ISBN:978-4-7529-7020-0
■著者:丁 宗鐵、浜内千波
■仕様:B5判 96頁
■発行年月:2015/8/10