HOME 書籍・DVD 【DVD】皮膚を刺激して肩関節周囲炎・腰痛を治す! 触圧覚入門
主な内容
触圧覚刺激法とは/接触法(タッチング)/刺激の目的/適応と禁忌、注意点/基本の手技
Part.2 肩関節周囲炎に対する触圧覚刺激法
肩関節周囲炎の治療/[基本1]肩関節後壁の治療/[基本2]肩関節前壁の治療/[応用1]乳がん術後の患者に伴うリンパ循環障害の治療/[応用2]肩手症候群
Part.3 腰痛に対する触圧覚刺激法
腰痛の治療法/体幹法の基本手技/骨盤の筋の長さ調節法・深部マッサージ
Part.4 その他の基本手技
四肢関節法(下肢)/体幹法(腹直筋治療)/頭頚部法
著者インタビュー

――まず、先生のご経歴について教えてください。
小林 1978年に東京都立府中リハビリテーション学院を卒業後、豊橋市民病院に入職し、1996年より同病院のリハビリテーション科課長補佐を務めました。2004年より小林記念病院医療技術部長兼リハビリテーション科課長を務め、現在に至ります。また、1997年より10年間、名古屋大学非常勤講師を併任で務めました。
――触圧覚刺激法とは、どのような手技なのでしょうか。また、どのような経緯で考案されたのですか?
小林 触圧覚刺激法は、各症状に対して皮膚を刺激することで、解発因を用いた生得的行動を治療に応用しています。簡単に言うと、関節可動域の維持、拡大を図るとき、あらかじめ患者の皮膚上に施術者の指を触れておくことで、可動域を制限していた筋の緊張を緩ませ、可動域を拡大させる方法です。
人はふだんの生活のなかで、突然の痛みや筋の異常緊張(筋スパズム)が生じた関節に手を当てる、あるいは支えるなど、罹患した関節の運動を改善しようとする姿勢をとりますよね。これら一連の行為は、疼痛や筋スパズムによる違和感が去るまで、数秒から数分に及ぶことがあります。
私は、この一連の動作のなかで手の位置を特定し、その特定部位に皮膚感覚刺激を加えることにより、関節に正常な位置情報を送り込むことができるのではないかと仮説を立てました。さらにこの仮説のもと、様々な生得的行動の解発因を探求していくなかで、人間が持つ生得的行動を筋スパズムの抑制に利用できることを発見しました。
つまり、関節可動域改善手技のプログラムのなかで、ある特定の部位に触圧覚程度の刺激(メルケル細胞への刺激)を与えると仮性筋拘縮スパズムが軽減することがわかったのです。さらに、これはすべての関節においても同様に言うことができました。
この理論を初めて世に紹介したのは、1995年の日本理学療法士会、および第30回日本理学療法士学術大会です。その後同年に開催した日本理学療法士協会現職者講習会で、痙縮に対する運動学的治療の1セクションとして実際の施術を公開しました。参加された先生方からは、驚きと多くの称賛の声を得ました。

――触圧覚刺激法には、どのような治療効果があるのでしょうか。
小林 主な効果として挙げられるのは、筋スパズムや疼痛の軽減、消失や、関節可動域の改善です。また、リンパ浮腫の改善にも効果的で、本DVDではPart.2の最後に、乳がん術後の患者におけるリンパ循環障害の治療法を紹介しています。
触圧覚刺激法の一番の利点は、術者は操作時に大きな力をかけることがなく、患者も無痛なので、両者に負担がかからないところにあります。また、治療時間が短く、有効時間は8時間と長いのも大きな利点だと考えます。
さらに、どのような治療手技とも親和性が高いのも特徴です。触圧覚刺激法を単体で行ってももちろん効果はありますが、鍼灸・マッサージや他の手技療法と併用することで、より高い効果を得られると考えています。触圧覚刺激法は、皮膚と筋の反射システムを用いて筋スパズムを軽減・改善するので、治療時間を短縮することもできるでしょう。
――このDVDでは、肩関節周囲炎、腰痛の治療法を紹介していますが、それぞれのアプローチ法と治療の流れについて、簡単にご説明いただけますか。
小林 このDVDは、みなさんがふだんの治療に試験的に取り入れられるような構成を考えました。まず基本操作を解説し、その後スパズムが発生している筋の治療法を筋別に紹介しています。肩関節周囲炎と腰痛は臨床で遭遇しやすく、治療する機会が多い疾患ですから、ぜひ取り入れていただきたいと思います。

――このDVDの一番の魅力は、どのようなところにありますか。
小林 接触法がわかりやすいことです。術者の動き、指先の動きを手に取るようにわかっていただけるでしょう。
――どのような方に観てもらいたいですか。
小林 理学療法士、作業療法士はもちろん、柔道整復師や鍼灸師、マッサージ師などの手技療法に従事されている方にはぜひ観ていただきたいと思います。その後はぜひ近くで開催されるセミナーに参加して、治療技術を向上させていただきたいですね。
――セミナーではどのようなことを教えていらっしゃいますか。
小林 セミナーは基本的にベーシックコースとアドバンスコースに分かれていて、まずベーシックコースでは、触圧覚刺激法の理論と基礎が学べます。そしてアドバンスコースでは、我々が「小林法」と呼んでいる治療法を学ぶことができます。小林法は、触圧覚刺激法をはじめとして、骨盤の位置と筋の長さ調節法、RSD治療法、開胸術後の筋リラクゼーション法、浅層・深層リンパ浮腫治療、高齢者の下肢痛を伴う腰痛治療、結合識ストレッチ法なども含んでいます。
現在常設のセミナーとしては、私が勤務している小林記念病院(愛知県碧南市)にて、日本理学療法士協会現職者講習会を開催しています。そのほか、日本リハビリテーション専門学校(東京都豊島区)にてアドバンスコースを開講したり、各地の市民センター等で、(公社)日本柔道整復師会公認の「触圧覚刺激法/小林教室」(定例会)を開催したりしています。
開催日程は触圧覚刺激法のホームページ(https://www.eonet.ne.jp/~syokuatyukaku/)で告知していますので、興味を持たれた方はぜひチェックしていただきたいと思います。
――最後に、これから触圧覚刺激法を学ぼうと考えている治療家の先生方に向けて、メッセージをお願いします。
小林 触圧覚刺激法は、患者も施術者も負担が少ない治療法です。また、確かな治療効果が得られるので、現在お持ちの技術に加えていただくことで、より高い効果を実感していただけると思います。本DVDを、日々の臨床に役立てていただければ幸いです。
【監修者略歴】 小林孝誌(こばやし・こうじ) ![]() 1978年、東京都立府中リハビリテーション学院卒業。同年、豊橋市民病院に入職。1996年よりリハビリテーション科課長補佐を務め、2002年、豊橋市健康課課長補佐に就任。2004年より小林記念病院医療技術部長兼リハビリテーション科課長を務める一方、1997年より10年間、名古屋大学非常勤講師を務める。 主な共著書に『理学療法ハンドブック第2巻/触圧覚療法刺激法』(協同医書)、『系統別・治療手技の展開 改訂第2版』(協同医書)、『アドバンス版 図解理学療法技術ガイド』(文光堂)、『理学療法MOOK(5)物理療法第6章 機械的療法6. 触圧覚刺激法』(三輪書店)などがある。 |
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商品説明
無痛で関節可動域を改善し、痛みを緩和させることを目的とした手技療法「触圧覚刺激法」。患者の皮膚上にあらかじめ指を触れておくことで、筋の緊張を緩めて、関節可動域を拡大することができる。本DVDでは、触圧覚刺激法の基本理念、基本動作を解説するとともに、肩関節周囲炎(五十肩)、腰痛にスポットを当て、その治療法を具体的に解説した。患者に負担を与えることなく取り入れられるため、痛みの緩和や身体機能維持に取り組む医療従事者に最適な手技療法といえる。
■監修・出演:小林孝誌(小林記念病院)
■巻数:1
■時間:約66分
■発売年月:2012/10/31
■ISBN:978-4-7529-0142-6
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