HOME 書籍・DVD DVD BOOK 杉山和一の刺鍼テクニック
主な内容
●総論
●第1章 十八手術
雀啄術
随鍼術
乱鍼術
屋漏術
細指術
四傍天術
四傍人術
四傍地術
三調術
気行術
三法術
円鍼術
温鍼術
暁の鍼
内調術
気拍術
竜頭術
熱行術
●第2章 十四管術
竜頭管
撥指管
推指管
巧指管
扣管
遠覚管
通谷管
爻ショ管
随肉管
こう鍼管
(暁の管、細指管、気拍管、内調管は省略)
●第3章 十四通りの押手
三本捨鍼
平の押手
束の押手
三毎の押手
離れ立
曇立
筒立
本福打鍼
打捻
反打
離れ
摘の押手
束の鍼
気拍の鍼
著者インタビュー
杉山流の鍼術を映像と写真で学べる『DVD BOOK 杉山和一の刺鍼テクニック』。どのようにすれば、本書を臨床に応用できるのでしょうか。本の特徴と併せて、著者の大浦慈観氏に話を伺いました。
――先生は和訓注釈本『杉山真伝流』表之巻・中之巻(自費出版)などを著され、杉山和一を長年研究されています。今回の本はこれまでの書籍とどのような点で異なりますか。
大浦 今まで講演や実技供覧などを数多く行ってきましたが、時間的な制約等もあり、皮膚の下での鍼の動きや、それを操作している手をじっくりお見せすることはでき ませんでした。「その手技は鍼柄を捻っているのですか?」とか「どのように運鍼しているのですか?」などと質問を受けることも多く、何をやっているかよく わからないというのが正直なところだったと思います。
そこで今回は、押手の動かし方や、どういった鍼柄の叩き方をしているのかといった刺手の動きを詳しく説明しています。写真とともに動画を撮影しているので、よりクリアに理解しやすくなっていると思います。
――先生はそもそもなぜ杉山和一の研究を始められたのですか。
大浦 私は「いやしの道協会」に所属し、横田観風先生の弟子であったということで、昔は横田先生のやり方しか知りませんでした。横田先生は軽く切皮程度に鍼を動か すだけで効果を出されます。しかし、私が先生のマネをして鍼をしても、半分くらいの効果しか出せない、あるいは半分以下の効果しか出せなかったのです。
名人の先生は見ている動 作と手技以上に、いろいろな要素が働いて、治療効果に結びついていることが多いと思います。横田先生なら丹田から発している気が患者さんにも伝わるという 要素もあるでしょう。それから精神的な面での患者さんとの信頼関係で言えば、私と横田先生では大きな差があります。
どうすれば自分なりの治療効果が出せるのか。これは大きな壁でした。悩んだ末に出した結論が、杉山真伝流の鍼の研究を始めることだったのです。杉山和一の手技をうまく自分なりに利用できたら治療効果が上がるのではないかと思いたって、いろいろ研究し始めたのです。
杉山真伝流には、鍼管で 細かく叩く方法など様々な手技が載っています。雀啄術1つとっても細かく描かれていますし、皮膚の下でどんな気のやり取りをしているのかいろいろと述べら れています。自分なりに試行錯誤しながら、だんだん手で理解できるようになってきた頃には、治療は格段に上達していました。
――『DVD BOOK 杉山和一の刺鍼テクニック』に載っている手技はどの程度、先生のアレンジが入っているのですか。それとも原文に近いままなのでしょうか。
大浦 再現した手技は原文にほぼ近いと言っていいと思います。ただ私のアレンジが加わっている面もあります。たとえば原文では「◎◎呼吸の間、留める」とか「○○ 呼吸の間、捻る」と書かれていますが、その通りにはやりません。時間通りにやっていると時間が長すぎてしまうため、効果が出れば、それでよしとしていま す。
刺入の深さの面でも、昔はやや深刺の傾向がありました。今は寸6を全部入れないといけない病状の人は稀にしかいません。またどんどん敏感な人が多くなり、鍼も浅くなってきていますので、それに応じて行うようにしています。
――杉山流のいろいろなテクニックが載っていますが、どのように臨床に応用すればいいですか。
大浦 使いやすいものに細刺術があります。つい先ほども講師をしている学校で、夏風邪を引いた学生さんの首と肩に細刺術を何カ所か行ってあげたら、汗をかいてよく なったという感想が聞かれました。鼻炎などに対しては、手の合谷に引き鍼として気行術も有効です。また、敏感な人には爻ショ管術も使えます。鍼管で雀啄す る効果は非常に大きいと思います。
当然ながら本に載っているすべての手技を行う必要はありません。使いやすい手技をいくつか覚えて、それをさらに自分なりにアレンジして使えるように仕上げていけば、抜群に治療効果が上がるのではないかと思います。
――最後に読者の方にメッセージをお願いします。
大浦 鍼灸の世界は、「この病気にはこのツボ」とか、「どのぐらいの深さを刺せば治る」とか、絶対的な深さの基準や置鍼時間、通電時間は決められるものではありま せん。患者さんはロボットではないので、患者さんの千差万別の状態に合わせて治療をします。つまり、千差万別の患者さんの感受性に働きかけて、効果を引き 出すのが鍼の仕事と言えるのです。コミュニケーションを例に挙げると、相手の気持ちや相手の性格に応じて話しかけていき、相手の気持ちをほぐしていくの が、コミュニケーションですよね。同じように鍼もいろいろなバリエーションを持っておいて、その中から患者さんに応じたアプローチを工夫するしかないんで すよね。
本来はその手引きやヒントが古典にいっぱい隠れているので、それを自分でひも解いていく作業をするのがいいと思いますが、なかなか1からやると大変である面は否めません。
最近は古典をやさしく読み解いた本がたくさん出ているので、そういうものから入って、自分なりに研究していっていただければと思います。今回はそういう入口 になればいいなと思って、DVD付の書籍をつくりました。もっと勉強したい人は原典にあたっていただければ鍼灸の世界がもっと面白くなると思います。物事 は簡単にできると飽きてしまいます。妙味がわかってくると鍼の仕事は一生楽しめます。その上で人に喜んでもらえるのですから、こんな仕事は他にないと思いますよ。
ページサンプル
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商品説明
管鍼法を考案し、日本鍼灸の礎を築いた杉山和一総検校。その杉山和一の弟子たちがまとめた書物『杉山真伝流』には、和一由来の鍼術が100種類以上記載されています。本DVDブックでは、その中から最も基本的な「十八手術」と、杉山流の特色である管を使いこなす「十四管術」、入江流から受け継いだ押手法「十四通りの押手」について紹介しています。書籍では、『杉山真伝流』の記述に基づき、手術、管術、押手の方法と主治を写真とともに解説。DVDでは著者・大浦慈観氏がわかりやすい語り口で当時行われていたテクニックを現代風にアレンジしながら実演しています。
杉山和一が鍼術を習い始めた江戸前期は、社会が安定化するにつれて、医療の対象は広範囲の病に及び、鍼灸治療も庶民の健康管理から産婦人科疾患や小児科疾患まで幅広く必要とされるようになりました。そうした情況の中で生まれた鍼法の一端はまさに必見に値します。
ISBN:978-4-7529-1127-2
著・出演:大浦慈観
仕様:A4判 86頁
付録DVD収録時間 約60分
発行年月:2012/05/01